061174 ランダム
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巨大な火の玉

 祖父が死んだ時、父親の兄にあたる伯父がお通夜の席でこんなことを言った。「なぁ、そういや不思議なことがあったなぁ。えらい暑い日に、おやじと道端の縁台で将棋さしとる時に、将棋盤見とったら、急にその将棋盤が真っ赤に燃えよる。何が燃えようるのかと思ったら、なんやその真っ赤なんが一面に広がって、あっと思って上見たらごっつい大きな火の玉が、ゴォーッちうて、空に飛び上がっていくとこやった。あれはなんやったんやろ、いまだに不思議やなぁ」「まぁ、今でUFOやな、あれは」「あぁ、覚えとる、覚えとる」 
あたりはざわめいた。不思議なお通夜の一コマであった。


角川文庫『新耳袋 第一夜』より


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